ナイトガードって何？マウスピースの種類を比較

「歯ぎしりや食いしばりの際には、就寝時にマウスピースを使用することが有効」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、マウスピースにも種類や効果の違いがあります。歯ぎしりや食いしばりに悩む方々にとって、本当に効果のあるマウスピースを選ぶために、それぞれの種類や効果について解説します。

マウスピースには大きく3つの種類があります。患者自身が作る自家製マウスピース、スポーツ用マウスピース、そして睡眠時専用の「ナイトガード」があります。
それぞれのマウスピースの本来の役割と、夜間の歯ぎしり・食いしばりに対する効果について見ていきましょう。

◇自分で作るタイプのマウスピース

【夜間の効果】

・噛み合わせを適切に調整できず、逆効果になる可能性が高い

◇スポーツ用マウスピース

【役割】

・歯を衝撃や急な食いしばりから保護する
・歯で自分や他者を傷つけることを防ぐ

【夜間の効果】

・ソフトタイプが多いため、夜間の持続的な歯ぎしりや食いしばりには耐久性が不足している
・余計に食いしばる力が強くなる可能性がある

◇ナイトガード（ソフトタイプ）

【役割】

・歯ぎしりや食いしばりによる夜間の歯やあごの保護

【夜間の効果】
・ソフトタイプが多いため、夜間の持続的な歯ぎしりや食いしばりには耐久性が不足している
・余計に食いしばる力が強くなる可能性がある

◇ナイトガード（ハードタイプ）

【役割】

・歯ぎしりや食いしばりによる夜間の歯やあごの保護

【夜間の効果】

・夜間の持続的な歯ぎしりや食いしばりにも耐えられる強度を備えいる
・歯ぎしりによる歯の摩耗を防ぐ
・食いしばりの力を和らげる

自宅で作るタイプのマウスピースは、沸騰させたお湯で既成の樹脂プレートを温め、歯にはめて噛み込むことで成形されます。歯医者に行かずに手に入るメリットがありますが、この種のマウスピースはあまりおすすめしません。なぜなら、自己調整するため、噛み合わせの調整ができず、結果としてアゴの痛みや怪我を引き起こす可能性があるからです。人間の噛み合わせは非常に繊細であり、わずかなズレでも歯やアゴに大きな負担をかけます。正しい噛み合わせを得るためには、専門知識を持つ歯医者による調整が必要です。そのため、マウスピースを自分で成形するだけでは、夜間の歯ぎしりや食いしばりに効果があるどころか、逆効果になる可能性があります。

「マウスピース」と聞くと、多くの人はボクシングやラグビーの選手が使用するスポーツ用のマウスピースを思い浮かべるかもしれません。
スポーツマウスピースの役割は、衝撃から歯を保護するだけでなく、急な噛み締めから歯を守ったり、歯で自分や相手を傷つけることを防いだりすることです。

スポーツ中には、重いものを守ったり、転倒しそうになった際に力を込めることがあります。その際には、瞬発的な食いしばりが行われることがあります。このような状況が続くと、歯ぎしりや食いしばりが慢性化し、夜間にも症状が現れる可能性があります。これは、様々な病気につながるリスクがあるため、適切な対処が必要です。
さらに、単純な衝撃だけでなく、歯が頬の内側や唇に当たって切れる可能性や、相手に歯が当たってしまうことで傷つけるリスクも考えられます。注意が必要です。

スポーツ用マウスピースは、歯科医師によって作成・使用され、スポーツ中の歯の損傷を防ぐために重要です。一部の歯科医はスポーツ用マウスピースの作成を行っていない場合もあります。これは、スポーツ用マウスピースの作成は歯科医師の必須技術ではなく、高品質なものを作るためにはスポーツ歯科学会などでの専門教育が必要だからです。

歯科医院でスポーツ用マウスピースを作りたい場合は、スポーツ用マウスピースを扱っているか事前に確認すると良いでしょう。

しかし、スポーツ用マウスピースには夜間の歯ぎしり・食いしばりへの効果は期待できません。なぜなら、多くのスポーツ用マウスピースは柔らかいゴム製であり、夜間の歯ぎしり・食いしばりには耐えられない可能性があるからです。
夜間の歯ぎしり・食いしばりは持続的な問題であり、柔らかいマウスピースではすぐに摩耗し、穴が開いてしまうことがあります。さらに、研究によれば、夜間の歯ぎしり・食いしばりがある人が柔らかいマウスピースを使用すると、逆に食いしばりの力が増すことが示されています。また、マウスピースが歯を覆う範囲が広くなると、唾液の循環が悪くなり、虫歯のリスクが高まる可能性もあります。
以上の理由から、スポーツ用マウスピースは主にスポーツに適しており、夜間の歯ぎしり・食いしばりには適していないと言えます。

ナイトガードは、夜間の歯ぎしりや食いしばりから歯やアゴを守るために使用される専用マウスピースです。このナイトガードには、ゴム製のソフトタイプとレジンを固めて作るハードタイプの2種類があります。どちらも歯科医院で作ることができますが、効果には大きな違いがあります。

歯科医院によっては、ソフトタイプのナイトガードは逆効果になる可能性が高いと考られており、そのため作成していないところもあります。理由は、耐久性不足や食いしばりの力が強くなる恐れ、そして虫歯のリスクを高めるおそれがある点です。推奨しているのは、ハードタイプのナイトガードです。ハードタイプのナイトガードは、歯ぎしりや食いしばりを確認することができ、歯を守るために必要な役割を十分に果たすことができます。夜間の歯ぎしり・食いしばりから歯を守りたい方には、ハードタイプのナイトガードをおすすめします。

確かにマウスピースは歯ぎしり・食いしばりが引き起こすトラブル緩和に効果がありますが、より効果的なのは「ハードタイプのナイトガード」だと考えられます。
自分で作るレジンのマウスピースやスポーツ用のマウスピース、またはソフトタイプのナイトガードは本来の目的とは異なる可能性があり、逆効果になることもあります。
そのため、歯ぎしり・食いしばりでお悩みの方は、専門知識のある歯科医院で相談し、ハードタイプのナイトガードを作ることをおすすめします。