デンタルフロスを使うメリットは?選び方と注意点
2024/05/102024/05/22
歯磨きを丁寧に行っていても、磨き残しが起こることがあります。特に歯と歯の間はしっかりと磨けないことが多く、虫歯のリスクが高まります。歯磨きの精度を向上させるためには、デンタルフロスが効果的とされています。この記事では、フロスを使いたいけれど「どれを選べばいいのかわからない」「使い方を知りたい」という方のために、選び方と使い方のポイントについて解説します。
目次
デンタルフロスを使うメリット
◇歯ブラシだけだと磨き残しがある
歯ブラシだけでは、1本ずつていねいに磨いたつもりでも、どうしても磨き残しがあるものです。実際に、「歯ブラシだけでは歯と歯の間のプラーク(歯垢)の58%しか除去できない」と言われています。歯ブラシだけでは、プラークや食べかすが歯と歯の間に残ってしまうのです。
しかし、歯ブラシだけでなくフロスも使った場合、歯と歯の間のプラークを86%まで除去できると言われています。また、歯ブラシの後に歯間ブラシを使うと、95%まで除去が可能です。
プラークが残ると虫歯や歯周病の原因となります。そのため、毎日の歯磨きでは歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシの併用がおすすめです。
◇デンタルフロスと歯間ブラシの使い分け
歯と歯の間にアプローチするためのアイテムには、フロスと歯間ブラシがあります。どちらか一方だけを使うのではなく、歯の隙間に合わせて使い分けることが重要です。
フロスは細い繊維を糸状にしたもので、狭い隙間に適しています。歯並びを見たときに歯と歯の間にそれほど隙間がないように見える場合は、フロスを使用すると良いでしょう。フロスは子供から大人まで使えるアイテムです。
一方、歯間ブラシは、歯と歯の隙間が広い部分を清掃するのに適しています。また、ブリッジをしている人も歯間ブラシを使うとプラークを除去しやすくなります。
個人によっては「フロスだけで十分」と考えるかもしれませんが、歯の隙間が広い場合やブリッジをしている場合は、フロスに加えて歯間ブラシも使用することをおすすめします。
◇口臭予防にも最適
デンタルフロスは、虫歯や歯周病の予防だけでなく、口臭も防ぐ効果があります。歯垢は口臭の原因となることがあります。歯と歯の間や隙間に残った歯垢や食べかすに雑菌が繁殖すると、不快なニオイが発生する可能性があるため、フロスを使って口臭を予防しましょう。
また、フロスは目で確認しにくい口の中の状況を知るのにも役立ちます。例えば、使用後のフロスから不快なニオイがする場合は、口臭がある可能性があります。フロスが途中で引っかかったり、ほつれたりする場合は、虫歯や歯石があるかもしれません。
デンタルフロスの選び方
スーパーやドラッグストアのフロスコーナーには、多種多様なアイテムが並んでいるため、どれを選べば良いのか迷ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、フロスを選ぶ際には、いくつかのポイントを押さえることで、自分に合ったフロスを簡単に選ぶことができます。そのポイントとは、フロスの種類と素材です。
◇種類で選ぶ
フロスは多くの種類があるように思えますが、実際には「ホルダータイプ」と「ロールタイプ」の2種類しかありません。これらの違いを知っておけば、自分に合ったフロスを簡単に選ぶことができます。
・ホルダータイプ
ホルダータイプのフロスは、ホルダー(持ち手)にフロスが付いているため、誰でも簡単に使える特徴があります。初心者や子供でも使いやすいタイプと言えます。また、ホルダータイプには「F字型」と「Y字型」があり、F字型は前歯に、Y字型は前歯や奥歯にも使いやすい特徴があります。ロールタイプのフロスだと、奥歯の清掃には指を口の奥まで入れる必要がありますが、ホルダータイプだとその必要がありません。
・ロールタイプ
フロスを使用する際には、ホルダーがないため必要な長さに切って使用します。フロスの両端を両手の指に巻き付けて使用するため、フロスを切る際には指に巻き付ける分の長さも確保して切る必要があります。
ホルダータイプと比べて扱いが難しいですが、慣れればそれほど不便を感じません。ホルダーがない分、コスパが良いというメリットもあります。
◇素材で選ぶ
フロスの素材には、ワックス加工されたものとそうでないものがあります。どちらが良いかは一概には言えませんが、それぞれにメリットとデメリットがあります。自分に合ったものを選ぶために、両方を比較することが良いでしょう。
・ワックスタイプ
ワックスタイプのフロスは、ワックスでコーティングされているため滑りやすく、狭い歯と歯の間にも簡単に入り込むことができます。さらに、歯と歯が重なり合っている部分でもスムーズに使用することができます。また、ワックスタイプのフロスは切れにくいため、フロスに慣れていない人でも簡単に扱うことができます。
・ノンワックスタイプ
ノンワックスタイプは、フロスをワックスで固めていないタイプのものです。ワックスで固めていないため、繊維が広がりやすく、歯の隙間にフィットして汚れを落としやすいというメリットがあります。ただし、滑りが良くなく、引っかかって切れやすいというデメリットもあります。
プラーク除去効果を重視する場合は、ノンワックスタイプを選ぶことをおすすめします。一方、歯の隙間が狭い方や扱いやすさを重視する場合は、ワックスタイプを選ぶことがおすすめです。
デンタルフロスの使用方法
フロスを正しく使用しないと、フロスによるプラーク除去効果が制限されてしまいます。特にロールタイプのフロスは使い方にコツがあるため、使用する箇所ごとに適切な方法を覚えておくことをおすすめします。
ロールタイプのフロスは、切って指に巻いて使用します。基本的な持ち方は以下の通りです。
① フロスを約40cmの長さに切ります。
② 切ったフロスを両手の中指に2〜3回巻き、約15cmの長さにします。
③ フロスをピンと張り、両手の親指と人差し指でフロスをつまみます(指の間は1〜2cm開けます)。
上記が基本的な持ち方です。
以下では、歯の箇所によって適した使い方を紹介しますので、基本的な持ち方を実践しながら覚えていきましょう。
◇上の前歯
上の前歯は、片方の手の親指と、もう一方の手の人差し指で上向きにフロスを押さえて使用します。
フロスを歯の隙間に挿入するため、片方の手の指は歯の内側に、もう一方は歯の外側になるようにしてフロスを前後に動かしながら、ゆっくりと進めていきましょう。フロスは張った状態を保ち、左右の歯の側面に沿って上下に数回動かします。両側を清掃したら、フロスをゆっくりと引き抜きます。
同じ方法で上の前歯全体の歯の間を清掃していきますが、使用した部分のフロスをずらして新しい部分を使用しましょう。
◇上の奥歯
奥歯の清掃方法は、前歯を磨くときとは異なります。両手の人差し指を使って上向きにフロスを押さえましょう。
上の奥歯を清掃する際は、フロスを前後にスライドさせながらゆっくりと歯の間に入れ、歯の側面に沿って上下に数回動かします。両方の歯の側面を清掃したら、フロスをゆっくりと引き抜いて、次の歯をフロスの新しい部分を使って清掃していきましょう。
◇下の歯
下の歯は、前歯も奥歯も同じように扱います。両手の人差し指を使って下向きにフロスを押さえ、上の前歯と奥歯と同じように清掃します。
歯肉炎のある部分は出血しやすいので、出血しても使用方法が間違っているわけではありません。プラークを除去して歯肉の炎症が治まると、出血は止まります。ただし、歯肉の炎症が治まると隙間が広くなることもあります。
デンタルフロス使用時の注意点
歯茎はデリケートであり、フロスの使い方によっては損傷を引き起こす可能性があります。お口の健康を守るためには、以下のルールを守ることが重要です。
◇1日1回はフロスを使用する
デンタルフロスは、1日1回以上使用することが理想的です。歯磨き後に使用することで口の中に残った歯垢を取り除き、虫歯や口臭を防ぐことができます。歯垢は2~3日で石灰化が始まると言われているため、毎日フロスを使って汚れをこまめに取り除くことが重要です。
フロスを使用するタイミングに決まりはありませんが、3食の中で選ぶなら夕食後や夜寝る前の歯磨きの際に使用することがおすすめです。就寝中は唾液の分泌が減少し、口内で細菌が増殖しやすくなるため、しっかりと食べかすを取り除くためにフロスを使用する必要があります。
◇ゆっくり・丁寧に動かす
フロスを使う際には、ゆっくりと、丁寧に糸を動かすことが重要です。歯と歯の間や溝にフロスを強く押し込むと、歯肉に損傷を与える可能性があります。鏡を使って位置を確認しながら、優しくフロスを動かすことが重要です。もしフロスを使用後に歯肉から出血が続く場合や強い痛みがある場合は、歯科医に相談することをお勧めします。
◇歯ブラシが届かない場所を掃除する
デンタルフロスは、歯ブラシの毛先が入らない狭い隙間で歯垢を除去する効果があります。以下の部分に重点を置いて使用しましょう。
【フロスで重視すべき場所】
・歯と歯の隙間
・歯と歯茎の境目(歯周ポケット)
・抜けた歯の周囲
・歯と歯が重なり合う部分
一方、広い歯の表面や大きな隙間では効果が薄いため、フロスだけでなく歯ブラシや歯間ブラシと併用することが重要です。フロスの使い方がわからない場合は、歯科医に相談して指導を受けることをお勧めします。
◇基本的には使い捨て
デンタルフロスを口の中に入れる際は、衛生的に使用することが重要です。ロールタイプのフロスは使い捨てなので、必要な分だけをケースから引き出して使用しましょう。使用後は糸を廃棄します。
ホルダータイプのフロスには繰り返し使用できるものもありますので、使用後は糸についた汚れをよく水洗いし、しっかり乾燥させて保管してください。メーカーの指示に従って使用し、新しい状態でも糸が歯に引っかかったり毛羽立ったりした場合は、廃棄して新しいものに交換しましょう。
まとめ
フロスを使うことで、歯と歯の間のプラークや食べかすを除去できるため、歯と歯茎の健康を保つのに役立ちます。通常の歯ブラシだけでは落とせない汚れも取り除くことができるので、食後にはフロスや歯間ブラシを使った歯の清掃を毎日の習慣にしましょう。